近年Amazonで新規出品を行うセラーが増えていますがいい商品を作りさえすれば売れるというわけではなく商品ページに見込み顧客を流入させることができなかったり、商品を成約させることが出来ずになかなか売上を伸ばせなかったり、あるいは商品が売れず在庫保管手数料を抑えるために値下げやセールで在庫処分を行っている人も増えています。
もちろん商品自体が”いいもの”であることは望ましいですが売上upにはAmazon自体のSEO(検索エンジン最適化)の方法を熟知して対策を行っていくことが望まれます。
Amazonの検索エンジン「A9」とは
Googleの検索エンジンが”Google bot”と呼ばれるように、Amazon内の検索エンジンにも“A9”という名前があります。
意外と歴史が古く2003年から存在します。
A9はGoogleの検索エンジンのようにページ外の特定のデータを基に検索結果画面を生成しています。
Googleアルゴリズムとの決定的な違いは検索エンジンの存在意義です。
Googleの検索エンジンは、Google以外のサイトへユーザーを流す事が目的ですが、Amazonの検索エンジンの目的は最も売上に繋がりやすい商品へユーザーを流す事です。
そのため、Google対策とは異なった考え方が必要となります。
Amazonに最適化された商品ページをつくるために、以下のA9の5つの特性を理解しておきましょう。
販売数とキーワードについて
Amazon内検索において直近の商品の販売件数が重要な要素となります。
ポイントはこの販売数が検索キーワードごとに測定されている点です。
例えばiPhoneケースを販売しているとして”iPhoneケース 赤”というキーワードで検索され購入に至った際は”iPhoneケース 赤”で検索された時に以前より上位表示されやすくなっています。
もちろん単に”iPhoneケース”で検索された時も以前より上位に表示されるようになりますがピンポイントで購入につながったキーワードが最も重視されるようになっています。
完璧なSEO対策をしたいのであれば日々キーワードごとに表示順位を調べて、順位が下がっているキーワードの原因を特定し対策していくことが必要となります。
セールスランキングについて
短期間で多く売れた商品はセールスランキングが高くなりますがこのランキングも直近でどれだけ売れているかによって決まるのでランキングが高いからといって商品が売れているとは限りません。
ページを閲覧したタイミングの直前でたまたま商品が大量に売れた可能性で安定的に売れているページとは限らないためです。
クリック率と購入率について
Amazon内検索において、ある特定の検索キーワードで検索した際の結果が1位の商品より2位の商品の方がクリック率(CTR)が高かった場合、ユーザーは1位の商品でなく2位の商品を求めているとA9(検索エンジン)が判断していきそうな所ですがA9はクリック率よりも購入率 (CVR)をより重視していると言われています。
つまり、たとえ検索1位の商品のクリック率が2位以下の商品よりも低い場合でも1位の商品の購入率が高ければ順位に変動は起こらないということです。
購入者によるレビューについて
購入者によるレビューはAmazon内SEO対策に重要と言われていますが実は直接的には関係ありません。
Amazonの上層部の方に確認を取っているため確かな情報ですがレビューが多いから上位表示される、といった事実はないのです。
しかしレビューが多いと信用性が増しコンバージョン率が高くなりやすいため、結果として商品が買われやすくAmazonSEOにもいい影響を与えるため、結局間接的には関係していることになります。
特に「Amazon.co.jpで購入済み」ラベルが付いているレビューは、ユーザーがAmazon.co.jp で購入した商品に対するレビューでより信用性が高く、反対にAmazon Vineレビューで獲得したようなレビューは仕組みを知っている人にとっては価値の低いレビューとなっています。
商品ページのコンテンツについて
Amazon内で編集できるコンテンツは以下の6つです。
- ページタイトル
- サブタイトル
- 商品説明文
- 出品者からの回答
- 商品画像のファイル名
- 著者、作成者などの名前(出版物に限る)
- プラチナキーワード
ページタイトル、商品説明文が特に重要となってきます。
プラチナキーワードは担当者が付いていて特別な許可をされている人でないと有効にはならないので通常は空欄のままにしておきます。
AmazonSEO対策のポイント
AmazonSEO対策は大きく分けて2つの対策で成り立っています。
- ページビュー数の増加方法
- ユニットセッション率の上昇方法
の2つです。
ページビュー数(セッション数)×ユニットセッション率=販売個数
となります。
ページビュー数=1000アクセス
ユニットセッション率=10%であれば
1000×10%=100個
の商品が売れていることになります。
そのためそれぞれの指標を増加させていくことが効果的なAmazonSEO対策となります。
ページビュー数の増加方法
ページビュー数とは見込み顧客の合計のアクセス数のことです。
1人が一定期間内に同じ商品ページを複数回訪問してもカウントしないセッション数を基準に考えることもありますが基本的には露出機会が増えればページビュー数は増えます。
ページビュー数を増やす方法としては以下のような施策があります。
- スポンサープロダクトの活用
- 出品キーワード対策
- タイトル・商品説明文の改善
- 外部サイトからの紹介(自社サイト、ブログ、Youtube、Instagramなど)
- 外部広告の利用(GoogleAdwords,Facebook広告など)
スポンサープロダクトの活用
スポンサープロダクトの運用は最初のキーワードの設定が全てのように思っている方も多いですが実際にはライバル商品ページの様子を見ながら毎日価格を調整していく作業に大きな比重がありツールなどを利用しても完全に自動化することはできない部分です。
多くの企業ではYahooリスティングやGoogleAdwords、Amazonスポンサープロダクトなど広告サービスに選任の運用担当が付いており毎日価格調整しているのが実態です。
弊社でも複数のクライアント様のスポンサープロダクトの運用代行を行っております。
参照:Amazonスポンサープロダクト運用代行サービスについて
出品キーワード対策
商品ページの露出機会を増やすためには検索キーワードの設定が必要不可欠です。
Amazonのサジェスト(予測変換)キーワードを詰め込んでいる方が多いですがそれでは表示回数やページビュー数は増えますがユニットセッション率が下がるので注意しましょう。
コンバージョンに繋がるキーワードだけを残すにはある程度の経験が必要です。
タイトル・商品説明文の改善
タイトルと等価で検索エンジンに評価されるのがタイトルと商品説明文です。
しかし特にタイトルは検索結果一覧からのクリック率にも影響してくるので特に念入りに対策を行う必要があります。
外部サイトからの紹介
自社で運営するホームページやブログなどを持っている場合、ダイレクトにアクセスを飛ばしてAmazonの商品ページのアクセスを増やすこともできます。
ただしそのような媒体を持って自社で集客できる場合、自社でネットショップを運営した方が利益率などの面でお得になることが多いです。(人を雇わない限り手間は増えます)
外部広告の利用
Facebook広告やYoutube広告などを利用しダイレクトにAmazonの商品ページに飛ばす方法です。
ただしAmazonの検索エンジンA9では検索ベースのコンバージョンを最も重視しているため外部サイトからダイレクトにアクセスがあり商品が売れた場合、特定のキーワードでの商品検索順位が上がらないので注意が必要です。
以前は外部広告を利用して集客を行う際に検索クエリを含めて指定したキーワードでコンバージョンしたように見せかけるSuper URLという仕組みを利用してキーワード対策を行うことが出来ましたがこちらは現在は効果がなくなっています。
ユニットセッション率の上昇方法
ユニットセッション率とはコンバージョン率とも呼ばれる指標で商品ページの販売数をアクセス人数で割ったものです。
Amazonでは他社と異なり同じ商品ページに複数の販売者がいるためユニットセッション率という指標を採用していますが、出品者が1人の場合はユニットセッション率=コンバージョン率となります。
正確には
コンバージョン率=ユニットセッション率÷カートボックス獲得率
となっています。
ユニットセッション率を上げるためには以下のような対策が必要です。
- 商品の購入メリットを分かりやすく伝える(文章)
- 商品の購入メリットを分かりやすく伝える(画像)
- 質の高いレビューを増やす
- コンバージョンに繋がらないキーワードで集客しない
- FBA出荷を利用する
- 適正な価格で販売する
商品の購入メリットを分かりやすく伝える(文章)
メリットを分かりやすく訴求することでコンバージョン率の増加につながります。
具体的な数値や、社会的証明(商品の特性をを支持するデータ)、有名人からの推薦文などを盛り込んでいくことも効果的です。
商品の購入メリットを分かりやすく伝える(画像)
一般的にその商品を実際に使っている様子が分かる画像がコンバージョンを上げるのに重要と言われています。
しかし例えばトップに使いたい商品画像が2枚あるとしたらこれは実際にそれぞれの画像を一定期間でトップに表示して効果が高い方を残すという作業が必要です。
画像のクオリティはコンバージョン率に最も影響するのでクオリティの高い
弊社でもAmazonの商品画像作成代行サービスを提供しています。
参照:バナー画像作成代行
質の高いレビューを増やす
食べログや@コスメ、価格.comなどレビューサイトが溢れる現代ですが実に6割の人がレビューを参考に商品を購入し、3割の人がレビューを意識していないつもりでも無意識的に影響されていると言われています。
実に9割の人がレビューの影響を受けて商品を購入していることになるので購入者に質の高いレビューを書いてもらうことは重要です。
Amazonの規約によると
- 商品のメーカーが、自社商品のレビューを投稿する
- 対価(現金、無料または割引商品、商品券、後日購入する商品に対して第三者が提供する割引など)を得るために、お客様がレビューを投稿する
- キャンペーン、懸賞、または会員制プログラムへ参加するために、お客様がレビューを投稿する
- ゲーム内で使えるアイテムや通貨を得るために、お客様がゲームのレビューを投稿する
- 商品の売り上げを伸ばすため、商品関係者の親戚、親友、仕事仲間、または従業員がレビューを投稿する
- 返金の約束と引き換えに、お客様がレビューを投稿する
- 競合他社の商品について、出品者が否定的なレビューを投稿する
- 著書に対して同業者から有益なレビューと引き換えに、同業者の作品に有益なレビューを投稿する
ことが禁止されているので公にレビュー依頼の募集などをすることは難しいですが実際には多くの企業でレビュー集めの施策は行われています。
現在確認できるインセンティブによるレビューが発覚した際の対応は該当レビューの消去だけでアカウント凍結などはまだ確認されていないので今後もこの傾向は変わらないと思います。
コンバージョンに繋がらないキーワードで集客しない
Amazonのサジェストキーワードを詰め込んだり、Amazonのスポンサープロダクトでオートターゲティングを指定すると余計なキーワードが入っているためコンバージョン率が下がってしまいます。
最初からコンバージョンを遺棄したキーワード選びを行うようにしましょう。
FBA出荷を利用する
FBA出荷ではAmazonの保証が適用されることと配送が早いことからFBA出荷でないと商品を買わないという層が一定数存在します。
そのためFBA出荷の方が出品者出荷の場合よりユニットセッション率が高くなります。
適正な価格で販売する
似たような商品が存在する場合値段が適正でないといくつかのページを比較・検討して商品を購入するユーザーが商品を購入してくれる確率が低くなるためコンバージョン率が下がります。
ただし商品のブランドを確立できていれば安易に値下げして売る必要はないので価格設定よりも前段階の商品ブランディング・マーケティング対策も重要となってきます。
AmazonSEO対策と上位表示の方法まとめ
- Amazonの検索エンジン「a9」の特性を理解する
- ページビュー数を増やす方法を知る
- ユニットセッション率(コンバージョン率)を高める方法を知る
最終的には理論より実践の方が大切です。
一般論ではAという画像の方がコンバージョン率が高いもののBという画像を入れた時の方がコンバージョン率が高いのであればそれを正解にして全く問題ありません。
実際に商品販売を行っていると商品ごとに効果のある文章、画像というのは変わってきます。
そのため売上を最大化するためにはAmazonSEO対策の方法を知った上で自社製品に適した方法を見つけていきましょう。