中国から商品を輸入すると、個人で直接輸入するにしろ代行会社を使うにしろ関税がかかります。
この記事では中国輸入の関税の計算方法について解説しています。
関税とは、二国間を跨いだ貿易の際国内産業の保護を目的として課せられる税金ですが、
その中でも実は、輸入関税と輸出関税の二つがあります。
税関は何も、日本にだけある訳ではありませんから、中国から輸出する際にも中国国内の税関を通るという訳です。
一般的に「関税」として語られるものは輸入関税の部類となり通常、それは輸入品にのみ課せられるのが一般的ですのでそうなります。
輸出品に対しても課せられる輸出関税というものは、特に希土類などの鉱産物に対してであり、一般的には関税は掛かってきません。
輸出関税にも言及したいところですが、中国輸入に用いられない概念を論じても生産的ではありませんので、ここからは「輸入関税」に限って説明を深めていきます。
目次
関税・消費税等の実態
一言に関税と言っても関税とセットになって発生する税金、手数料等があります。
分けると以下の様になります。
- 関税
- 消費税
- 税関手数料
- 通関手数料
まず、関税は品目ごとに分かれています。
しかし、世にある商品数は無限に近い為、それを世界共通で品目分けしなくては税関の仕事が終わらなくなります。
関税の品目分けには「HSコード」という識別子が用いられます。
HSコードとは、国際貿易に置ける商品の名称及び分類を世界的に統一する為に作られた識別子となります。
番号の構成要素としては先に、国際的に共通した6桁の番号があり、それ以降の部分では各国に委ねられています。
日本では「輸出入統計品目番号」とも呼ばれています。
この品目を用いて税関作業は行われることになりますが、
この品目には関税率が紐づいており、そこから特定の関税率もしくは無税といった判定が行われ、輸入品に対する関税が請求されます。
輸入品に限って言えば、財務省が管理する実行関税率表で確認することが可能です。
分類としては、第1類から第97類まであります。
主に、中国輸入で扱われやすい品目を関税率と共に纏めてみましたのでご覧ください。
- 毛皮のコート: 20%
- 外衣類: 5.3% – 12.8%
- Tシャツ: 7.4% – 10.9%
- 水着: 8.4% – 10.9%
- ネクタイ: 8.4% – 13.4%
- マフラー類: 4.4% – 9.1%
- 革製: 8% – 16%
- 金製、銀製、プラチナ製、貴石製品: 5.2% – 5.4%
- 腕時計、その他の時計: 無税
- パソコン: 無税
- デジタルカメラ、ビデオカメラ: 無税
- ピアノ、弦楽器、吹奏楽器: 無税
- ブルーレイディスク、CD: 無税
- 書籍、雑誌: 無税
- 楽譜、ポスター、複製画、カタログ類: 無税
- 肉筆の書画、版画、彫刻: 無税
- 香水、オーデコロン、口紅、マニキュア用品、化粧水: 無税
- 浴用化粧石けん: 無税
- がん具: 無税 – 3.9%
- 乗用自動車、オートバイ: 無税
- モーターボート、ヨット、カヌー: 無税
- スキー用具、ゴルフクラブ: 無税
- 釣り用具: 3.2%
- 甲が革製又は甲の一部に革を使用したもの: 30%又は4,300円の高い税率
- 腰掛け、家具: 無税
- 絨毯: 6.3% – 8.4%
- プラスチック製: 無税 – 3.9%
- 陶磁製: 無税 – 3.9%
- ガラス製: 無税 – 3.9%
- ステンレス製: 無税 – 3.9%
- 毛布、ベッドリネン: 3.2% – 10.9%
- マットレス、ふとん: 3.2% – 10.9%
- 茶葉: 3% – 17%
- コーヒー豆: 無税 – 12%
- ミネラルウォーター: 3%
- 清涼飲料水: 9.6% – 13.4%
- ビール、ウイスキー、ブランデー、リキュール: 無税
- チョコレート菓子: 10%
- 砂糖菓子: 24% – 25%
- クッキー、ビスケット: 13% – 20.4%
- アイスクリーム: 21% – 29.8%
- ソーセージ: 10%
- 魚類缶詰: 9.6%
- かに缶詰: 5%
- チーズ: 22.4% – 40%
- たばこ: 無税 – 29.8%
- ペットフード: 無税 – 36円/kg
関税率はこの様に品目ごとに分けられているという訳です。
そして、関税の課税方法ですが、詳しくは商品代金+国際送料に対して課税されます。
消費税では、一律8%として商品代金+国際送料+「関税」に対してとなりますので、上記の関税率が影響してきます。
次に税関手数料と通関手数料ですが、これは輸送に使う段ボール一箱に対して発生します。
税関手数料が一箱200円。
通関手数料が一箱80円。
合計段ボール一箱に対し約280円です。
また、関税の構成比は商品代金+国際送料ということはお伝えしましたが、その金額は「20万円」を基準にして税率が変わります。
具体的には「一般税率」と「簡易税率」に分類され、20万円以下の課税対象に対するものが簡易税率となります。
ここで、関税対策として一度の輸送を20万円以下に留めようと考えると思いますが、実は、簡易税率の方が税率として見れば高い傾向にあります。
▼関税、消費税等の税額計算方法(カスタムスアンサー)
http://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1111_jr.htm
関税の発生頻度について
通関時に発生する関税ですが実は、必ず発生する訳ではありません。
税率無税の商品だからという訳ではなくまず、キャリアによってもその関税発生頻度が変わる傾向にある様です。
国際輸送するキャリアには多数の会社があります。
EMS、eパケット等の日本郵便からDHL、FEDEX、UPS、SAGAWA等のクーリエ系のものまで多岐に渡ります。
通関作業も人が行っていますので企業の信用度も無意識に働いているのかもしれません。
勿論、通関規則に則って厳格に行われている訳ですが、割りとEMSは緩慢でありDHL等は発生頻度が高い様に思われます。
中国輸入を継続する限り通関は免れませんので、自社で関税頻度の統計を取り配送業者を調整してみても面白いかもしれません。
ですが、気を付けるべき点として、EMSが通過しやすい特性があったとしても、物量によっては根本的な「送料」が他より割高になり、関税と送料との兼ね合いが要求されますので注意が必要です。
また、税関の内情を完全に把握することは不可能に近いので断言はできませんが、国際輸送されてくる物量と税関職員の数から考えて全ての貨物をチェックすることは無理です。
そこで、エックス線、インボイスとの照合等により関税対象(怪しい)となり得るものが洗い出されてくると思われますが、
それに合わせて、現在の国際物流業務にはNACCS(輸出入.港湾関連情報処理システム)が導入されている為、そこに記録される過去の通関履歴と照らし合わせて関税の発生頻度が変わってきている可能性もあります。
最後に
中国輸入に掛かる関税には調べるほど奥深さを感じます。
特に国際物流がNACCSによって情報統制された今
- 財務省(税関)
- 国土交通省(港湾)
- 経済産業省(貿易管理)
- 厚生労働省(食品監視、検疫)
- 農林水産省(動植物検疫)
関係省庁が情報を共有している為、関税に関わらず、他の貿易に関する不正は見過ごされません。
関税法に抵触する行為には手を出さず、王道のビジネスを築かれることをお勧めします。
そして、その一助になり得るのが中国輸入代行業者の存在かと思います。